まなぶ,みがく。

自分で学び、自分を磨く。学習と研鑽にいそしもう。

あたたかい風景

山に囲まれたその村に朝日が差し込むのは、
平野部に比べれば確かに遅い時間帯である。
けれども、朝日のもつエネルギーの大きさは、
水平線から顔を出した瞬間の朝日よりは、
はるかに大きくなっている。力強くなっている。
そんなあたたかい朝日を浴びるその村の風景もまた、
あたたかさで満ち溢れたものであり、
野原に咲く花の鮮やかな色、
若葉もえる山山の緑のグラデーション、
青く澄んだ空に浮かぶ綿菓子みたいな雲。
川面で輝く朝日の反射は、
生命の営みを強調して標示しているようだ。
田園があり、麦畑があり、小動物がたくさん生息している。
たとえ、光があたる時間が遅くなろうと、
たとえ、人生の希望を抱くのが人より遅かろうと、
そこにはあたたかな風景が広がっている。
あたたかな風景を、
どのように感じ、どのように愛で、
そしてどのように表現していくか。
その村に住む人々は、
あたたかい風景を愛し、
あたたかい心を育て、
あかるくたくましく暮らしている。
日照時間が短いことなんて、
気にしている人は、いない。