まなぶ,みがく。

自分で学び、自分を磨く。学習と研鑽にいそしもう。

風流に生きたい。

風流に生きたい。
そう思っている男がいたそうな。
しかし。男には風流そのものがよく理解できていないらしい。短歌俳句をしてみたり盆栽墨絵や骨董などに手を染めてみたものの満たされない日々を過ごしていた。
風の神様。どうか私に風流の極意を教えて下さい。頼みこんだ。
落葉樹の葉を運んできた風の神様が呟く。
風の音を聞きながら時を過ごすのだ。まず風と対話してみるがよい。
そう教えてくれた。
以来風流に生きたいと思っている男はひたすらに風の音に耳をすまし風の囁きを感じられるようになったのは彼が死ぬ直前だったそうな。
しかし。
彼に後悔はなかった。風の音に一心に耳を傾けなければ聞こえきたであろう雑音のことを知ったからである。
彼の耳に届かなかった雑音は渦を巻いて竜巻となって嫌われ風になっていたのだ。
はたして。
彼の生涯は風流に生きた生涯といえるのだろうか。少なくとも彼自身はそう信じているようだが。