まなぶ,みがく。

自分で学び、自分を磨く。学習と研鑽にいそしもう。

チューリップの花束を買う夜

都心の花屋で、チューリップの花束を買おう。
妻が好きな花が、チューリップだからだ。
大好きな妻の笑顔が、見たい気分の夜なのだ。
家のある地元で買うことも考えたけど、
都心の花屋で、わざわざ高い買い物をしたかった。
値段で愛情が決まるとも思わないけど、
チューリップにも高級品があるのだとしたら、
今夜は、高級なのを贈りたいのだ。
これを持って電車に揺られ、家まで60分。
想像すると恥ずかしいけど、
ほんのいっときだ、耐えられるさ。
妻の好きなピンク色を中心に、
16本のチューリップで花束を作ってもらった。
花屋を後にして、空を見上げた。
星が流れて消えた。
妻は覚えているだろうか、
16年前の今夜、初めてキスをしたことを。