まなぶ,みがく。

自分で学び、自分を磨く。学習と研鑽にいそしもう。

ミルクティをもう一杯

海辺にある喫茶店のテラス席。
彼女は砂糖たっぷりのミルクティを飲みながら、
水平線を見つめていた。
水平線は、青い空と青い海の境界線なのに、
はっきりと線が認識できる、不思議ねぇ。
そこが宇宙への入口なのかしら。
だったら、私を宇宙に連れてって。
地上で、悲しみと喜びに振り回されているくらいなら、
上も下もない、右も左もない、
宇宙を彷徨っていた方がどれだけ楽でしょう。
彼女の目は、空と海を行ったり来たりしながら、
ミルクティの最後の一口を飲み干した。
そこへ、喫茶店のウェイターが近づく。
「今日の海は、穏やかです」
「いつもは波が高い?」
「ええ、水平線を消してしまうくらいですよ」
彼女は、少し微笑んでから、ミルクティのおかわりを頼んだ。
「うんと、甘くしてちょうだい」
するとウェイターは、
「悲しい目から涙がこぼれないようにね」
と言いながら引っ込んだ。
海からの風が、彼女の頬を撫でた。
彼女の目は、遠くから近くへ焦点を移し、
ビーチ手前の通りで商うバナナフライの屋台を見た。
小さな女の子は、バナナフライを受け取りながら、
世界で一番幸せそうに笑っていた。
彼女は、少女の幸せに共感できて、笑顔になった。
いつのまにか、おかわりのミルクティが、運ばれていた。