まなぶ,みがく。

自分で学び、自分を磨く。学習と研鑽にいそしもう。

VELOCEにて

A駅に近いVELOCEで、アメリカンコーヒーを飲んでいる。日曜日の朝。書店が開店前だったので、この店に寄って、ピースライトを吸いながら、これを書いている。
店の中は個人客ばかりで、喋り声もなく、有線放送の静かな曲が流れている。沈黙していることの幸福が、そこに沈潜している。床の市松模様さえ騒々しく感じる静寂。
ビルの屋上に出て、街に向かって叫びたい衝動は、何故だろう。情緒が、日曜日の朝を、とらえどころのないゲル状の物体のようにつかみそこねている。
あの人は、今頃、電車に揺られているのだろうか。僕に会うために、A駅に向かっている。待つことの喜び。最愛の人に会える瞬間が刻々と近づく高揚が、体の芯から湧いてきている。今日も、二人で食事をして、お喋りをして、キスをしよう。
こうして、二月最後の日曜日を過ごすことを、天国の親父は、どんな風に見ていてくれるだろうか。俺は、あなたの倍も生きて、今、こうして人生を楽しませてもらっています。ありがとう、親父、ありがとうご先祖様。