まなぶ,みがく。

自分で学び、自分を磨く。学習と研鑽にいそしもう。

中津燎子『声を限りに蝉が哭く』

著者の中津燎子さんは、英語未来塾の創始者として有名です。
彼女のエッセイから引用させていただきます。
“I”というのは、英語の中で最高の単語なんですね。
“I”と誰の前でも言えるようにならなければ英語にならない。 その “I” を言えないんですよ、日本人の99%は。なぜかというと日本語に“I”がないから。自分を出す『わたくし』というのがないんです。出したとしても、へりくだる“I”です、打ち出す“I”ではないわけ。恐縮の分量っていうのを絶対緩めないんです。それをほっておくと、英語では“I”と言っているのに、恐縮する心持ちが“I”の発音に入ってくるわけです。自分では恐縮と思ってないんですよ。これはもう持って生まれた我が文化ですのでね。そこのところをはっきりと、英語はコレ、日本語の場合はコレっていう風にね、使い分けるっていうセンスを持たなくちゃいけない。」(「“I”は英語スピーチの基本」より
中津燎子さんは、英語教育を通して、
しっかりと“I”を主張できる日本人を育てたかったんでしょうね。
中津燎子さん、2011年6月15日永眠、享年85.合掌。
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私の戦争の記憶は、
蝉の声に占領されっぱなしだった。
 
ふと気がつくと、
工事中のトンネルの中も外も、
全部の山並みも、
木々の一本一本も、
声を限りの蝉の声で充ちていた。
昭和十九年の夏の終わりだった。
 
秋には蝉は死に、
哭き声は消える。
だが私の耳の底の
蝉は哭きやまない。